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神戸地方裁判所 昭和62年(行ウ)10号 判決

神戸市中央区小野柄通七丁目一番一八号三宮ビル

原告

大竹貿易株式会社

右代表者代表取締役

上原満男

右訴訟代理人弁護士

香山仙太郎

田宮敏元

神戸市中央区中山手通二丁目二番二〇号

被告

神戸税務署長 長沢信夫

右指定代理人

中牟田博章

奥村晴夫

桑名義信

長谷川優

北尻裕二

主文

一  「被告が昭和六〇年五月二三日付けでした原告に対する昭和五六年四月一日から昭和五七年三月三一日までの事業年度に係る法人税の更正処分を取り消す。」「被告が昭和六二年一二月二五日付けでした原告に対する昭和六〇年四月一日から昭和六二年三月三一日までの事業年度に係る法人税の各更正処分(昭和六一年四月一日から昭和六二年三月三一日までの事業年度に係る更正処分中交際費等の損益不算入額の部分及びこの部分に関する過少申告加算税を除く)を取り消す。」「被告が平成元年八月三一日付けでした原告に対する昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度に係る法人税の更正処分並びに被告が平成二年一月二九日付けでした昭和六二年四月一日から昭和六三年三月三一日までの事業年度に係る法人税の再更正処分を取り消す。」との各訴えを却下する。

二  原告のその余りの請求を棄却する。

三  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

一  被告が昭和六〇年五月二三日付けでした原告に対する昭和五六年四月一日から昭和五九年三月三一日までの各事業年度に係る法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。

二  被告が昭和六二年一二月二五日付けでした原告に対する昭和五九年四月一日から昭和六二年三月三一日までの各事業年度に係る法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(昭和六一年四月一日から昭和六二年三月三一日までの事業年度に係る更正処分中交際費等の損益不算入額の部分及びこの部分に関する過少申告加算税を除く)を取り消す。

三  被告が平成元年八月三一日付けでした原告に対する昭和六二年四月一日から平成元年三月三一日までの各事業年度に係る法人税の更正処分並びに被告が平成元年一月二九日付けでした原告に対する昭和六二年四月一日から平成元年三月三一日までの各事業年度に係る法人税の再更正処分を取り消す。

第二事案の概要

一  本件は、電気製品の輸出業を営む原告が収益計上に当たり船荷証券引渡日を基準として法人税の申告をしたところ、被告が収益は商品の船積日を基準として計上すべきであるとして法人税の更正処分及び過少申告加算税等の賦課処分を行ったため、原告が、船荷証券引渡日は公正妥当な会計処理の基準であると主張して、その取消しを求めた事案である。

二  争いのない事実

1  原告は、カラーテレビ等の電気製品の輸出を業とする株式会社である。

2  原告は、昭和五六年四月一日から昭和五七年三月三一日までの事業年度(以下「昭和五七年三月期」という。)昭和五七年四月一日から昭和五八年三月三一日までの事業年度(以下「昭和五八年三月期」という。)及び昭和五八年四月一日から昭和五九年三月三一日までの事業年度(以下「昭和五九年三月期」という。)の法人税につき別表1の確定申告欄記載のとおり法人税の確定申告をした。

3  これに対し、被告は、昭和六〇年五月二三日付けで、右各事業年度につき、別表1の更正欄及び賦課決定欄のとおり更正及び加算税の賦課決定をした。

4  原告は、これらの処分を不服として国税不服審判所長に対して昭和六〇年六月二四日に審査請求をしたが、これにつき、昭和六一年一二月一七日請求を棄却する旨の裁決通知を受けた。

5  原告は、昭和五九年四月一日から昭和六〇年三月三一日までの事業年度(以下「昭和六〇年三月期」という。)昭和六〇年四月一日から昭和六一年三月三一日までの事業年度(以下「昭和六一年三月期」という。)及び昭和六一年四月一日から昭和六二年三月三一日までの事業年度(以下「昭和六二年三月期」という。)の法人税につき別表2の確定申告欄のとおり法人税の確定申告をした。

6  これに対し、被告は、昭和六二年一二月二五日付けで、右各事業年度につき、別表2の更正欄及び賦課決定欄のとおり更正及び加算税の賦課決定をした。

7  原告は、これらの処分を不服として国税不服審判所長に対して昭和六三年六月二二日に審査請求をしたが、平成元年六月二九日、これにつき、重加算税の賦課決定処分を取り消し、過少申告加算税の賦課決定処分をしたほかは、請求を棄却する旨の裁決通知を受けた。

8  原告は、昭和六二年四月一日から昭和六三年三月三一日までの事業年度(以下「昭和六三年三月期」という。)及び昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度(以下「平成元年三月期」という。)の法人税につき別表3の1、2の各確定申告欄記載のとおり、法人税の確定申告をした。

9  これに対し、被告は、平成元年八月三一日付けで、右各事業年度につき、別表3の1、2の更正等の欄のとおり、平成二年一月二九日付けで、右各事業年度につき、別表3の1、2の再更正等の欄のとおり、更正、再更正、及び過少申告加算税の賦課決定をした。

10  原告は、これらの処分を不服として国税不服審判所長に対して平成二年二月二六日に審査請求をしたが、これにつき、平成四年三月一一日に、平成二年一月二九日付けでした昭和六三年三月期の事業年度の法人税の更正に対しては請求棄却、その他については却下の決定通知を受けた。

三  原告の主張

1  売上計上の日をいつにするかについて、法人税法二二条四項は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算するとしているが、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準とは、商法三二条二項の公正なる会計慣行と同義である。

これによれば、収益はその実現があった時に計上すべきものとされるが、この実現とは、収益の実現であって、権利の実現ではない。これをもって、その収入すべき権利が確定したときとする解釈は、いわゆる歴史的な権利確定主義とよばれるものであって、今日においては、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に相反するものとされている。

いつ収益の実現があったかは、収入すべき権利の確定とは無関係であって、公正なる会計慣行における収益の実現とみられるもののうち、継続して適用することを条件に、企業が自主的に選択した基準によって決定されるものである。法人税基本通達(以下「通達」という。)二-一-二も、商品の引渡しの日を売上計上の日とするとした上で、引渡しの日の例を挙げ、これ以外においても引渡しの日として合理的であり継続してその日に売上を計上している場合はこれを認める旨の取扱を規定している。

原告は、この収益の計上基準として、荷為替取組日基準を採用している。

被告の主張するように、権利確定主義の立場から、船積みによって収入すべき権利は確定しているから収益は実現しており、荷為替取組みは実現した収益の回収であるとするのは、根本的な誤りである。荷為替取組日基準が一般に公正妥当と認められる会計処理の基準としての収益の実現基準とみられるならば、船積日基準をもって収益実現基準としないことができるからである。船積みの日に売上を計上する船積日基準そのものは、公正妥当な会計処理の基準として認められ、また、通達における引渡基準に合致することも否定はしないが、売上計上の日をいつにするかについての会計処理の基準は一つに限らず、数種の基準につきその選択適用が認められているものであって、輸出取引であるかといって、必ずしも船積日に売上を計上しなければならないものではない。

したがって、このような船積日基準を前提とすることなく、荷為替取組日基準が一般に公正妥当と認められる会計処理の基準によって収益実現基準となるか否かを検討すべきである。

2  一般に公正妥当と認められる会計処理の基準における収益の実現基準は、引渡基準を原則としているが、船荷証券は商品を表彰する有価証券であって、船荷証券の所持人のみがこの商品の引渡しを受けることができるのであるから、その引渡しは商品の引渡しに該当する。

そもそも船舶、貨車、トラックへの積込みをもって売上計上の日とする運送基準が公正妥当な会計処理の基準として認められるのは、相手方への到着が経済的に確実であって売上金額やそれまでの費用も確定し、買主による検収も確実視され、売上代金の入手もほとんど確実であるところから、このような基準でも引渡しと同視し、実現主義に基づく売上の計上と解してもよいとする便宜的な会計慣行によるものである。

したがって、被告の主張するように、信用状や保険制度の発達普及があったからといって、船積みによって直ちに所有権が移転するものでもなく、それが故に輸出取引にあっては、必ず船積みの日に売上を計上しなければならないものではない。輸出取引における船積日基準であっても、それは売上収益計上の一基準にすぎないのであって、国内取引と何ら区別すべき基準ではない。通達においても、特に輸出取引であるからといって、これを区別していない。

3  被告は、輸出取引にあっては、船荷証券の引渡しは商品の引渡しではなく、これによって所有権が移転するものでもなく、船積みにより所有権は移転し、船積みによって買い手に対する引渡しがあるとするが、船荷証券、貨物引換証、倉庫証券等の証券は特殊の性質を有し、有形的な引渡し(現実の占有の移転)をもって即動産物権変動の表象とはせず証券をもってこの表象とし、これによって表象される商品については証券の交付が商品の引渡しと同一の効力を有し、証券の引渡しが動産物権変動の対抗要件たるに止まらず、効力発生要件であるとされているのである。

倉庫に寄託中の商品であっても、運送途上の商品であっても、売却することができるが、この場合は現実の引渡しではなく、倉荷証券、貨物引換証、船荷証券によって商品の引渡しがされる。

これは、これらの証券が商品を表象する有価証券であって、この裏書譲渡によって商品の所有権を取得することが法律上認められるからであり、この証券の譲渡によって売掛債権あるいは現金を取得しうるのである。

4  荷為替の取組は、買主を引受人とした為替手形を発行し、船荷証券、保険証券等を添えて銀行の割引を受けるものであるが、実質上は、銀行を通じて商品の引渡しと同時に商品代金を受け取る機能を営むもので、この場合の船荷証券の引渡しも商品の引渡しに該当するものであり、もはや売主がこれを受戻すことはあり得ず、銀行に対する借入金のための担保の提供などではない。

荷為替取組日基準もまた船荷証券すなわち商品の引渡基準であって、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準における適正な収益計上基準である。

収益計上基準としては、商品の引渡として認識しうるか否かが問題となるのであって、掛け売りか、現金売りかなど、代金の受領の有無は関係がない。船荷証券引渡しと同時に手形売却代金を受領しても、それがために収益計上基準として、不適となるものではない。

したがって、船荷証券の譲渡が実現主義に基づく売上収益計上基準に当たることは明らかであり、通達における引渡しに該当することも明らかである。

5  被告は、船荷証券をいつ引き渡すかは比較的自由に決定できるので、証券の引渡日に売上を計上することを認めると、原告が恣意に売上計上日を決定して期間損益を調整する可能性があるから、船荷証券引渡日に売上を計上することは許されないと主張する。

しかし、売上を計上すべきか否かを決定するのは、その取引によって収益が実現したか否か、すなわち、〈1〉経営給付(商品・製品等)の引渡し〈2〉対価としての現金又は現金等価値の受領という要件を満たしているか否かによるものであって、その取引の日が自由に決定できるか否かとは全く無関係である。

売買は当事者の意思の合致により成立するのであって、売主が単独で決定できるものではなく、その契約の内容により一定期間の取引日が合意されている場合はその期間内は売主が単独でその取引日を決定できるが、これは船積日の決定か、船荷証券引渡日の決定かで異なるものではない。

船積日であっても、船荷証券引渡日であっても、売買契約の内容によって定められているものであって、それが決められた範囲で自由であることは全く同じであり、売上に計上すべきか否かは取引の性質が問題となるのであって、取引日が自由に決定できるか否かとは無関係である。

恣意的に売上計上日を定めるとは、ある取引については船積日に売上を計上し、ある取引については船荷証券引渡日に売上を計上し、ある取引については検収日に売上を計上するなどすることであって、このような売上計上日の定め方であれば期間損益の調整が可能となって許されないものとなる。

しかし、船積日、船荷証券引渡日、検収日等一定の基準の日に必ず売上を計上し、このような会計処理方法が毎事業年度継続して厳格に採用されているならば、恣意的な売上計上にはならないし、期間損益の調整をしたことにもならない。これは企業会計原則における継続性の原則として周知のものであり、通達もこれを採用している。

そして、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準である限りにおいては、どの基準を採用するかは、その企業の業務上、経理上の実体に応じ、その企業が合理的と考える基準を自由に選択できるのであって、その基準を毎期継続して適用する限り、その収益計上を人為的に操作する余地はなく、法人税法の企図する公平な所得計算の要請にも合致する。

原告は、船荷証券取引日をもって売上計上の日とし、これを毎期継続して採用しているから、その収益計上を人為的に操作する余地はない。

6  以上のとおり、被告は、所有権移転という物権変動につき、誤った解釈の下で船荷証券引渡は商品の引渡しに当たらず、その日に売上を計上することはできないとし、会計処理の選択適用及び継続性の原則を全く無視して輸出取引にあっては船積日を売上計上の日とするべきであるとして、本件各処分をしたものであり、本件各処分は、通達に反するだけでなく、公正妥当な会計処理の基準を採用する法人税法二二条に反して違法であり、取消しを免れない。

四  被告の主張

1  本案前の主張

(一) 被告が原告に対して昭和六〇年五月二三日付けでした昭和五七年三月期に係る法人税の更正処分は、原告の当該期の純損失等の金額を増加させる処分であって、不利益処分に当たらないから、原告は右処分の取消しを求める法律上の利益を有しない。

(二) 被告が原告に対し昭和六二年一二月二五日付けでした昭和六一年三月期及び昭和六二年三月期に係る法人税の各更正処分は、原告の昭和六一年三月期及び昭和六二年三月期の所得金額等を減少させる処分であって、不利益処分に当たらないから、原告は右処分の取消しを求める法律上の利益を有しない。

(三) 被告が原告に対して平成元年八月三一日付けでした昭和六三年三月期に係る更正処分は、被告が原告に対し平成二年一月二九日付けでした同事業年度に係る再更正処分により取り消されている。そして、右再更正処分は、原告の同事業年度の当初申告に係る所得金額及び税額を減少させる処分であるから、不利益処分に当たらず、原告は右再更正処分の取消しを求める法律上の利益を有しない。

また、被告が原告に対して平成元年八月三一日付けでした平成元年三月期に係る更正処分は、同事業年度に係る所得金額を減少させる原告に有利な処分であるから、原告が右更正処分の取消しを求める法律上の利益を有しない。

2  本案についての主張

(一) 法人税法二二条四項は、法人税の最も重要な課税標準である各事業年度の所得の金額は、基本的には健全な企業会計の方法によって計算される企業利益を前提に計算すべきことを規定したものである。

そして、同項の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」とは、同法の立法趣旨に照らし、客観的な規範性をもった公正妥当と認められる会計処理の基準といった意味であり、明文の規定があることを予定しているものではないから、右基準は必ずしも「企業会計原則」を指しているものではない。しかし、企業会計原則は、企業会計審議会が一般に公正妥当性を判断したものであるから、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準であることの一つの有力な根拠とはなる。したがって、企業会計原則に従った処理がされていれば、右基準に該当すると考えられる。

(二) 企業会計原則では、収益の計上について、実現主義の立場を採用しており、法人税法の収益の計上についても、同法二二条四項の規定から実現主義を原則的基準とすべきものと解される。

そして、右規定を受けて通達二-一-一では、棚卸資産の販売による収益の計上について引渡基準を採用しているが、これは、商品や製品等の売上高については、引渡しの事実をもって実現があったものとする趣旨であり、企業会計原則でいう販売基準と同じ考え方である。

ところで、右引渡しには種々の態様が考えられるが、通達二-一-一は、引渡日の判定につき、出荷日、検収日等の引渡日を例示して、その棚卸資産の種類、性質、販売内容等に応じて合理的であると認められる基準、すなわち、現実の個々の取引に最も適合し、当該法人の期間収益を正確に算出し得る基準を選択し、これを継続適用すべきことを明らかにしたものである。

(三) 更に、期間損益の操作は、企業会計の本来の課題である企業の真実の財政状態及び経営成績の表示をゆがめ、企業の利害関係人の判断を誤らしめるばかりでなく、ひいては、継続企業としての企業の存続を危うくするものであるから、期間損益操作の可能性がある基準は決して認められるものではなく、会計慣行として尊重されるものではない。

したがって、複数の収益計上基準があるということは、納税者に公正妥当な会計処理に反した計上基準を採用することを許容するものではなく、その適用する基準が合理的である場合に限り継続適用が認められるにすぎない。それゆえ、その基準に恣意の介入する余地があるため、税法の期間計算の趣旨に反し、その基準に合理性がないと認められるものについては、いかに、法人が継続適用したとしても、これをもって、一般に公正妥当な会計処理の基準に従ったものとはいえず、選択適用の余地はないというべきである。

この点、原告の昭和五四年四月一日から昭和五五年三月三一日までの事業年度及び昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日までの事業年度に関する被告の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分に係る同一当事者間の訴訟事件(一審・神戸地方裁判所昭和五九年(行ウ)第七号、控訴審・大阪高等裁判所昭和六一年(行コ)第二五号。以下「先行事件」という。)の控訴審判決も同様の立場をとるものである。

(四) 原告が主張する船荷証券引渡日基準は、次の理由により、収益計上基準としては合理性を欠く基準であって、公正妥当な会計処理の基準とは認められない。

(1) 船荷証券は運送品の引渡請求権を表象するものにすぎないから、船荷証券の引渡しが直ちに商品の引渡しであるということはできない。

また、収益計上の対象となる引渡しについては当事者間の売買契約の内容により判定すべきであるが、本件輸出取引におけるF・O・B(本船渡し)、C&F(運賃込み渡し)及びC・I・F(運賃保険料込み渡し)の各取引条件は、インコタームズ(貿易用語の解釈に対する国際規則)によれば、商品を本船に積み込むことによって引渡しとするものであり、船荷証券等の買主に対する引渡しは、売買契約に係る売主の付随的な義務というべきであるから、商品自体の船積みをもって引渡しとすべきである。

したがって、仮に船荷証券の引渡しが法律上商品の引渡しに当たるとしても、本件のような取引形態においては、船荷証券の引渡しをもって商品の引渡しとみる余地はない。

更に、船荷証券の引渡しは、実質的には商品の引渡しではなく、商品の引渡しという事実行為とは別の代金取立のための手段であるから、船荷証券引渡日基準は、取引の事実行為としての商品引渡しに収益実現の基準を置かず、形式的な権利の喪失のみに基準を置くものであって、合理的な基準であるとはいえない。

(2) 船荷証券引渡基準は、貿易の相手方に対する商品の現実的な引渡行為によって収益が客観的に明白となり実現しているにもかかわらず収益計上を行わず、代金取立のための手段である船荷証券の銀行への引渡しを基準として収益計上を行うものであるから、実質的には回収基準又は現金主義による基準とされるものである。

また、右基準は、会計学上は為替取組日基準と呼ばれるように、収益計上は船荷証券の銀行への引渡しによって行うのではなく、荷為替手形の銀行の買取実行日又は取立日をもって行うものであるから、この点でも一種の回収基準にほかならない。

(3) 船荷証券引渡日基準は、引渡日の決定について経営者等の恣意の入る余地が大きい基準である。

すなわち、船積日が売主と買主の合意によって決定されるのに対し、船荷証券の引渡日は売主単独の意思で決定されるから、期間損益操作が可能であり、公正妥当な会計処理の基準に当たらないというべきである。

(五) 本件輸出取引に係る収益計上基準として、被告が主張する船積日基準は、次のとおり、右取引の実態、慣行、引渡手続、契約条件及び会計慣行からみて正当であるが、右基準は、原告も公正妥当な会計処理の基準として認めており、先行事件の一審判決及び控訴審判決においても、公正妥当な会計処理の基準として認められている。

(1) 輸出取引の場合は、売上は商品を本船に積み込んだときに商品の現実的な管理支配をし得ない状態に至る。

また、信用状と保険制度の発達普及により、実際上売主は商品代金回収の危険性から解放されているので、商品の船積時に代金取得が確実になったと認められる。

したがって、商品の本船積込時に引渡しがあったとみる船積日基準は、収益実現の観点からみて妥当な基準といえる。

(2) F・O・Bの貿易条件においては、所有権移転及び危険負担の面からみて、収益計上基準を船積日に求めることは妥当である。

また、C&F及びC・I・Fの各貿易条件においても、船積日を収益計上の基準とすることは必ずしも不当とはいえない。

(3) 船積日は売主と買主の合意で決定され、また、国際海上物品運送法七条一項八号において、船荷証券に船積日を記載することが法定されているので、売主単独の意思で変動させることはできないから、取引日の客観性が担保され、恣意の介入する余地は極めて少ない。

(4) 船積日基準は、実務上では公正妥当な会計処理の基準として広く一般的に採用されており、会計慣行化している。

(六) 以上のとおり、本件輸出取引における収益計上基準としては、船積日基準が相当であり、他方、船荷証券引渡日基準が公正妥当と認められる会計処理の基準であるとは認められないから、これによることはできない。

したがって、被告が船積日基準により行った、本件各処分はいずれも適法である。

五  争点

1  原告は、被告が昭和六〇年五月二三日付けでした昭和五七年三月期に係る法人税更正処分、昭和六二年一二月二五日付けでした昭和六一年三月期及び昭和六二年三月期に係る法人税更正処分、平成元年八月三一日付けでした昭和六三年三月期及び平成元年三月期に係る法人税更正処分、平成二年一月二九日付けでした昭和六三年三月期に係る法人税再更正処分の各取消しを求めるにつき法律上の利益を有するか。

2  輸出業における収益計上の基準として、船荷証券引渡日基準が公正妥当な会計処理の基準として認められるか。

第三争点に対する判断

一  争点1について

1  原告は、被告が昭和六〇年五月二三日付けでした昭和五七年三月期に係る法人税公正処分、昭和六二年一二月二五日付けでした昭和六一年三月期及び昭和六二年三月期に係る法人税更正処分、平成元年八月三一日付けでした平成元年三月期に係る法人税の更正処分の取消しを求める法律上の利益を有するか。

原告の昭和五七年三月期、昭和六一年三月期、昭和六二年三月期、平成元年三月期に係る法人税の確定申告額及びそれに対する被告の公正処分の内容が、それぞれ、別表1、2、2'、3の2のとおりであることについては、当事者間に争いがなく、右各更正処分は、昭和五七年三月期については、別表1のとおり、所得金額を原告の確定申告額よりも減額し、昭和六一年三月期については、別表2、2'のとおり、所得金額を原告の確定申告額よりも減額し、平成元年三月期については、別表3の2のとおり、差引欠損金額を原告の確定申告額よりも増額している。

更に、昭和六二年三月期についても、当該更正処分のうち、原告は、別表2'の交際費等の損金不算入の部分及びこの部分に関する過少申告加算税を争わない結果、原告の自認する所得金額は、七億五〇二六万七〇〇八円となり、当該更正処分の所得金額を上回ることになるから、当該更正処分は実質的に所得金額を減額しているといえる。

ところで、処分の取消しの訴えは、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる(行政事件訴訟法九条)のであって、「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により直接自己の権利若しくは法律上の保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうが、昭和五七年三月期、昭和六一年三月期、昭和六二年三月期及び平成元年三月期に係る各更正処分の直接の効果は、各期の所得金額を減額させるという原告にとって利益な処分であるから、原告は、当該処分により直接自己の権利若しくは法律上の保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者とはいえないというべきである。

この点について、原告は、各事業年度の損益は連鎖的に密接に影響しており、一事業年度の処分のみの取消しを求めては、却ってその連鎖の環を切断して不合理な結果となり、すべての事業年度の処分の取消しを求めない限り、その請求の目的を達することができないし、売上収益計上基準は継続して採用することが税法上も要件となっているのであるから、当該各年度の取消しを求め得ないとすると、継続性にも欠けることになって、翌期以降についても敗訴してしまうと主張する。

しかし、各事業年度の更正処分はそれぞれ別個独立の処分であるから、法律上の利益の有無も各事業年度の更正処分ごとに考えるべきであるし、法律上の利益の有無は、処分の直接の法的効果が自己の権利若しくは法律上の保護された利益を侵害し又は必然的に侵害するおそれのあるものであるか否かで決定され、事実上不利益な効果が付随的に発生したとしても、それは、法律上の利益の有無には影響しないというべきである。

したがって、原告の右主張は採用することができない。

2  原告は、被告が平成二年一月二九日付けでした昭和六三年三月期に係る再更正処分について、取消しを求める法律上の利益を有するか。

昭和六三年三月期に係る原告の法人税の確定申告に対し、被告が平成元年八月三一日付けで別表3の1記載の「更正等」欄のとおり更正処分を行ったこと、更に、被告が平成二年一月二九日付けで別表3の1記載の「再更正等」欄のとおり再更正処分を行ったことは、当事者間に争いがない。

そして、別表3の1によると、右再更正処分は、課税所得金額を当初の更正額よりも減額するいわゆる減額再更正であるから、当該処分は、減少した税額に係る部分についてのみ法的効果を及ぼすものであり、当初の更正処分とは別個独立の処分とはいえず、その実質は、当初の更正処分の変更であり、それによって、税額の一部取消しという納税者に有利な効果をもたらす処分であると解することができる。

したがって、原告は、右処分により自己の権利若しくは法律上の保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者とはいえないから、右処分の取消しを求める法律上の利益を有しない。

3  原告は、被告が平成元年八月三一日付けでした昭和六三年三月期に係る更正処分について、取消しを求める法律上の利益を有するか。

被告は、当該処分は、被告が平成二年一月二九日付けでした原告に対する同事業年度に係る再更正処分により取り消されているから、原告は、当該処分の取消しを認める法律上の利益を有しないと主張している。

そこで、この点について検討するに、昭和六三年三月期に係る原告の法人税の確定申告に対し、被告が平成元年八月三一日付けで別表3の1記載の「更正等」欄のとおり更正処分を行ったこと、更に、被告が平成二年一月二九日付けで別表3の1記載の「再更正等」欄のとおり再更正処分を行ったことは、当事者間に争いがなく、別表3の1によると、右更正処分は課税所得金額を原告の確定申告額よりも増額する処分であり、再更正処分は、課税所得金額を当初の更正額よりも減額するいわゆる減額再更正である。

そして、減額再更正処分の性質は、前記のとおり、減少した税額に係る部分についてのみ法的効果を及ぼすものであり、それ自体は、当初の更正処分とは別個独立の課税処分ではなく、その実質は、当初の更正処分の変更であるから、再更正処分がされたからといって、当初の更正処分が取り消されるものではなく、当該更正処分が課税所得金額を確定申告額より増額するものである以上、その取消しを求める法律上の利益がないとはいえない。

したがって、原告には、当該更正処分の取消しを求める法律上の利益があるというべきである。

二  争点2について

1  法人税法上、内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資本等取引以外の取引に係る収益の額とするものとされ(二二条二項)、当該事業年度の収益の額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算すべきものとされている(同条四項)。

したがって、ある収益をどの事業年度に計上すべきかは、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うべきであり、これによれば、収益は、その実現があった時、すなわち、その収入とすべき権利が確定したときの属する年度の益金に計上すべきものと考えられる。もっとも、法人税法二二条四項は、現に法人のした利益計算が法人税法の企図する公平な所得計算という要請に反するものでない限り、課税所得の計算上もこれを是認するのが相当であるとの見地から、収益を一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計上すべきものと定めたものと解されるから、右の権利の確定時期に関する会計処理を、法律上どの時点で権利の行使が可能となるかという基準を唯一の基準としてしなければならないとするのは相当でなく、取引の経済的実態からみて合理的なものとみられる収益計上の基準の中から、当該法人が特定の基準を選択し、継続してその基準によって収益を計上している場合には、法人税法上も右会計処理を正当なものとして是認すべきである。しかし、その権利の実現が未確定であるにもかかわらず、これを収益に計上したり、既に確定した収入とすべき権利を現実の回収を待って収益に計上するなどの会計処理は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合するものとは認め難いものというべきである。

2  そこで、本件のような棚卸資産の販売による収益について検討するに、乙第一号証の一、二ないし第六号証及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

(一) 原告の輸出取引は、原告が輸出商品を船積みし、運送人から船荷証券の発行を受けた上、商品代金取立てのための為替手形を振り出して、これに船荷証券その他の船積書類を添付し、いわゆる荷為替手形として、これを原告の取引銀行で買い取ってもらうという形態のもの(以下「本件輸出取引」という。)である。

(二) 原告は、本件輸出取引において、国際商業会議所において採択された貿易条件の解釈に関する国際規則(インコタームス)に示された貿易慣習の定型となる貿易条件のうちF・O・B、C&F、あるいはC・I・F条件のいずれかによって輸出販売していたが、各条件の内容は次のとおりである。

(1) F・O・B条件

商品の売主が買主の指定した船舶に売主の費用と危険をもって約定品を船積みする義務を負うが、以後一切の負担から免れる意味の売買契約を内容とする。

そして、同売主には本船から船荷証券を取得し買主に提供する当然の職務はないとの前提に立ちながら、同売主は、買主の要請があれば、買主が船荷証券を取得できるように助力しなければならないことになっている。

そして、船荷証券が買主に引き渡された場合における約定品の所有権移転の効果は、約定品の本船への引渡しの時に遡及するものとしている。

(2) C&F条件

輸出港における船積み渡しの価格に外国仕向地までの運賃を特に加算した複合価格採算による売買契約を内容とする。

これはC・I・F条件の構成要素から特に保険に関する要素を除外したもので、本質的にはC・I・F条件と同一である。

この条件における売主と買主との危険負担の限界は、約定品の船積時である。

そして、契約の履行としての引渡しもこれに対する代金の支払いも、必ず船積書類(その中心となるものに船荷証券がある。)の授受によって履践される。

(3) C・I・F条件

目的物品の船積港における輸出原価に、仕向地までの保険料と運賃を加算した複合価格で取り決められ、売主は、自己の費用と危険で約定品を船積みし、それに保険を付け、船積書類を整えて、これを買主に提供することにより、また、買主は、その船積み以降の危険を負担し船積書類と引換えに代金を支払うことにより、それぞれの義務を履行することを内容とする条件である。同条件では、通常は、船荷証券が売主の指図式で発行され、その場合は当該約定品の所有権は、「買主が船積書類を適法に提供する」という条件付きで買主に移転し、船積みの右条件の成就により、船積みの時に遡及して所有権が移転することとされている。その上、危険負担も、約定品が輸出地で船積みされた時に、売主から買主がに危険が移転するとされる。

更に、この条件では、売買の目的物の引渡しは船積書類の提供によってのみ行われ、売主はその目的物を買主に引渡すべき義務を負わないものであり、同時に、売主の船積書類の提供と買主の代金支払い義務が同時履行の関係にある。

(三) 現在の貿易取引においてほとんどの場合いわゆる信用状の授受が行われているが、貿易等の実務のガイドラインとして普遍的に利用されている荷為替信用状に関する統一規則及び慣例によると、信用状には取消可能な信用状と取消不能な信用状があり、前者は、発行銀行がいつでも受益者に対する事前通知なしに変更又は取消しを行うことができるとされ、後者は、一定の書類が呈示されかつ信用条件が充足されていれば発行銀行が金銭の支払いを確約するものとされている。

原告会社を含め、一般には取消不能な信用状によって貿易取引が行われているが、その他信用状によらない場合において、売主の指示により銀行が、為替手形の支払いと引換えに船積書類を引き渡すDP手形、同じく為替手形の引受けと引換えに船積書類を引き渡すDA手形の決裁による取引などがある。

(四) 輸出取引における収益計上の基準としては、(1)出庫基準(商品等の通関及び船積み如何にかかわらず出庫により収益を計上するもの。)、(2)通関基準(商品等の出庫された時点においては積送品勘定に計上し、通関日すなわち輸出申告書記載の通関年月日に収益を計上するもの。)(3)船積日基準(商品等が出庫されたときは積送品勘定で処理し、船積みの日、通常は船荷証券記載の船積年月日に収益を計上するもの。)、(4)船荷証券等作成日基準(商品の船積み等を完了し、船荷証券等を入手した段階で当該船荷証券等の作成日に輸出売上の収益を計上するもの。)、(5)為替取組日基準(商品の船積み等を完了し、船荷証券等を入手後、輸出為替の買取り依頼等のため為替銀行に輸出手形を持ち込み、買取実行日又は取立日をもって輸出売上の収益を計上するもの。)、(6)揚地条件受渡日基準(定型的貿易条件の揚地条件の各受渡日をもって輸出売上の収益を計上するもの。)などがあるが、信用状を基礎とした国際間の取引の普及により、輸出者が輸出代金回収の危険から解放され、輸出為替買取りによる運転資金の調達が可能となったこと、信用状を基礎としない国際取引においても輸出保険制度の利用によって輸出代金回収の危険、為替銀行の輸出為替買取りについての難色が緩和されるに至ったこと、海上保険制度を中心とする遠距離輸送の危険回避などにより、船積日基準が、実務上は広く一般的に採用されている。

(五) F・O・B条件及びC・I・F条件(C&F条件はC・I・F条件の系列に入る)は販売価格の建て方を定めたものであって収益計上の基準である引渡基準を定めたものではないため、企業会計上は、右条件によって、収益計上基準を区別する必要も実益もないとされている。

3  これらの事実関係からすれば、現在の輸出取引においては、信用状の授受や輸出保険制度の利用により売主は商品の船積みを完了すれば、取引銀行において為替手形を買い取ってもらうことにより売買代金の回収を図り得る実情にあるといえるから、船荷証券が発行されている本件の場合には、船荷証券が買主に提供されることによって、商品の完全な引渡しが完了し、代金請求権の行使が法律上可能になるものというべきである。

したがって、法律上どの時点で代金請求権の行使が可能となるかという基準によってみるならば、買主に船荷証券を提供した時点において、商品の引渡しにより収入とすべき権利が確定したものとして、その収益を計上するという会計処理が相当なものということになる。

しかし、現在の輸出取引においては、既に商品の船積時点で、売買契約に基づく売主の引渡義務の履行は、実質的に完了したものと見られるとともに、前記のとおり、売主は、商品の船積みを完了すれば、その時点以降はいつでも、取引銀行に為替手形を買い取ってもらうことにより、売買代金相当額の回収を図り得るという実情にあるから、右船積時点において、売買契約による代金請求権が確定したものとみることができる。

したがって、このような輸出取引の経済的実態からすると、船荷証券が発行されている場合でも、商品の船積時点において、その取引によって収入とすべき権利が既に確定したものとして、これを収益に計上するという会計処理も、合理的なものというべきである、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合するものということができる。

4  これに対して、荷為替取組日基準は、荷為替手形を取引銀行で買い取ってもらう際に船荷証券を取引銀行に交付することによって商品の引渡しをしたものとして、収益を計上するものであるが、この船荷証券の交付は、売買契約に基づく引渡義務の履行としてされるものではなく、為替手形を買い取ってもらうための担保として、これを取引銀行に提供するものであるから、右の交付の時点をもって売買契約上の商品の引渡しがあったとすることはできない。そうすると、荷為替取組日基準は、右のように商品の船積みによって既に確定したものとみられる売買代金請求権を、為替手形を取引銀行に買い取ってもらうことにより現実に売買代金相当額を回収する時点まで待って、収益に計上するものであって、その収益計上時期を人為的に操作する余地を生じさせる点において、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合するものとはいえない。

このような処理による企業の利益計算は、法人税法の企図する公平な所得計算の要請という観点からも是認し難いものといわざるを得ない。

5  以上のとおり、為替取組日基準によって輸出取引による収益を計上する会計処理は、公正妥当と認められる会計処理の基準に適合しないものであるということができる。

第四結論

よって、原告の「被告が昭和六〇年五月二三日付けでした原告に対する昭和五六年四月一日から昭和五七年三月三一日までの事業年度に係る法人税の更正処分を取り消す。」「被告が昭和六二年一二月二五日付けでした原告に対する昭和六〇年四月一日から昭和六二年三月三一日までの事業年度に係る法人税の各更正処分(昭和六一年四月一日から昭和六二年三月三一日までの事業年度に係る更正処分中交際費等の損益不算入額の部分及びこの部分に関する過少申告加算税を除く)を取り消す。」「被告が平成元年八月三一日付けでした原告に対する昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度に係る法人税の更正処分並びに被告が平成二年一月二九日付けでした昭和六二年四月一日から昭和六三年三月三一日までの事業年度に係る法人税の再更正処分を取り消す。」との各訴えは不適法であるからこれを却下し、その余の請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 辻忠雄 裁判官 渡邉安一 裁判官 伊東浩子)

別表1

〈省略〉

別表2

〈省略〉

別表2

〈省略〉

別表3の1

〔審査請求人 大竹貿易株式会社〕

課税処分の経緯(昭和63年3月期)

〈省略〉

別表3の2

〔審査請求人 大竹貿易株式会社〕

課税処分の経緯(平成元年3月期)

〈省略〉

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